お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
魔法にかけられて

人の男を値踏みする女

ディズニーランドから帰ってきて、まだ3日ほど休暇が残っていた。29歳の誕生日、先生と一緒に過ごせるはずなどないのに、旅行のついでに連休にしてしまい、自分でも笑ってしまった。
 
私って何を期待してるんだろう?いい歳こいて。
 
29歳、あと1年で30歳なんだ。いつまでこの関係が続くのだろう。何年も続けても、誕生日を1人で過ごすことになるのはわかっている。実を結ばないのはわかっている。それでもいいと踏み込んだはずなのに。

「誕生日やっぱり会えそうにないよ。でも必ず夜に電話するからね。どこかに行くの?」
「別にどこにも。仕事だし夜は高いステーキでも買って、焼いて食べようかな?」そんな風に笑って先日話した所だ。

「あ、こんな時間かー。由美子さんとご飯っておっくうなんだよなー。終始自慢話だし、トモミの先輩じゃないと行かないんだげどな。」独り言がついグチになる。

乗り気ではない由美子さんを囲む会、言うならば「由美子会」に定期的に顔を出している。

由美子さんは、一言でいうと【人の男を値踏みする女】なのである。
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