お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
過去のトラウマ。白濁した青臭いあの独特の臭いに、吐き気さえ覚えた事があった。

遠い記憶なのに、今でも鮮明に覚えている。

私は中学2年生で初体験をした。地味子な私が、サッカー部の同じクラスの男の子と付き合えた理由。私の幼馴染みで仲のいい親友が、少しヤンキーっぽくて、可愛い女の子で校内でも目立つ存在だった。

可愛い、その幼馴染みの引き立て役でしかなかった私だったが、おこぼれに預かり、初彼が出来たわけだった。

私は少女漫画のような交際に憧れていた。手が触れるだけでもドキドキして、キスもお互いに緊張してどこか不器用なキスを想像していた。
唇に触れるか触れないかの、そんなピュアなキスを待ち望んでいた。

ファーストキスの時がやって来た。校舎の裏手でキスをされた。けれど、それは最初からディープなもので、戸惑いつつも、彼の舌を唇に受け入れた。

そんなファーストキスに、ショックを受けた。でも彼の事が好きだったので、嫌われたくはなかった。

ほどなくして、彼からキスより先に進みたいと言われた。この年頃の男の子は、少なからずアダルトビデオやその手の本から知識を得ていた。

そして、この年代の男の子たちは早くヤリたいと、悪く言えば盛りのついたサルなのだ。

またしても嫌われたくないと、学校帰りの彼の部屋で、私は初体験をする。

それは終始、アダルトビデオの真似事だった。

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