半妖の子

美弥とボス

「懐かしい呼び名だね」


「お願いします。戻って来て下さい！」


「中也･･･私は私を拾ってくれた先代のボスにもお前にも理央にも感謝してる。こんな私に生きる場所を与えてくれたから」


「でしたら！」


「でも戻れない」


「なぜです！」


「私はこの地一体を治める長。私を支えてくれる者がたくさんいる。その全てを捨てる事は私には出来ない。ごめんね中也･･･」


「･･･っでも！」


「よせ。中也」


「ボス!!」


「･･･邪魔したな。帰るぞ中也」


「･･････はい」


「待って！」


「姫様？」


「理央･･･お願い。もう人を･･･傷つけないで。お願い･･･」


「なぜ？人は我ら異形な妖を忌み嫌い傷つける。お前が一番良く知っている事のはず」


「それは･･･」


「美弥･･･」


いつの間にか理央は私の前まで来ていた。


理央は何も言わず私にキスをした。


「･･･美弥。俺は今でも人間たちがお前にした事を許せない。だから俺はお前を守る。だが･･･お前は長だ。敵同士となる。その時はお前の手で俺を殺せ」


「理央！」


「俺にはお前を殺せない。美弥･･･その時までしばらくお別れだ」


去ろうとする理央。


「待って！理央！」


呼び止めに応じないまま理央は去って行った。


「姫様･･･」


「･･･帰る」


「え？」


「奈苗。悪いけどあとお願い。キトラ！」


空から猫又の妖キトラが降りてきた。


「待てよ！ちゃんと説明しろよ!!」


「ごめん。今は無理」


そして私は奈苗たちを残し帰宅した。


「お帰りなさい姫様」


「ただいま･･･」


マリアが出迎えてくれた。


「どうかされましたか？」


「･･･理央に会った･･･」


「！そうでしたか･･･お疲れでしょう。今日はもうお休みください」