私は滑り台を落ちる夢を見る。
「なーに言ってるの麻衣子!
映画に感化されすぎだよぉ、
やっぱりそういうの憧れちゃうよね?
瀧くんかっこいいもんねっ!!」
✱
本当に そうだろうか。
耳が鳴ったんだ、キィーン、って。今。
そしたら……
名前が聞こえて……
✱
「麻衣子ってばぁあああ……」
「あっ……」
「さっきから変だよぉ、麻衣子ぉ……」
目の前にはまた美雪の顔。
明らかにぼうっとしていたらしい。
「もーう麻衣子、しっかりしてよ〜っ…」
周りを見れば人は既にシアターからいなくなっていた。
「ね?はやく出よ?麻衣子。」
服を引っ張られ、歩き出す。
✱
「はーもう超良かったよな!『君の名は。』!」
「マジでそれ。良すぎだわ」
「みつは、胸でけぇーー!」
「いやお前真顔でキモイから!」
✱
同じ時間に見てたんだろうか。
同い年くらいの、
すんごい髪色した、派手な、
でも顔は整った男の子達。
目が合う。
「「え……」」
重なる、重なった……。
音が、声が、重なった。
「何ぼーっとしてんだよ怜央!もう行くぞ!マーックドナールド〜〜っ」
「もーう、麻衣子?!いい加減に目を覚まして!」
✱
「うん、ごめん美雪 次どこ行く?」
「はぁもう……しっかたないなぁ!
うーん……香水選び手伝ってよっ」
にこっと笑う美雪に、
手を引かれ 私は歩いた。
✱
『麻衣子ちゃん……』
『怜央くん……?』
『……_______。』