私の青春、君の人生
「梨佳、髪巻いてる〜!かわいい!」
教室に入るなり美月が飛んできて、
「恋する乙女だね」
と、耳打ちした。
その日の昼休み。
「今日髪くるくる〜」
後ろに立った隼斗が、あたしの髪を自分の指に絡めて遊んでいる。
「ちょっと。崩れちゃうでしょ」
きつく言いながらも、口元が緩むのを必死におさえる。
美月は1人で購買に行っちゃったし。
早く帰ってこーい!
あたしの心臓がもたないよー!
「あ、そういえばさ。最近もう冬馬のこと言ってないよね」
あたしの前、美月の席に座った隼斗が聞いてきた。
あぁそっか。
隼斗はあたしが冬馬のこと好きだったのを知ってるんだよね。
なんか、複雑。
でもこうやってあたしのことをよく見ていてくれたり、心配してくれたり。
やっぱり好きだなーって思っちゃう。
「あぁ。なんかもういいかなって」
平然を装ってそう言ったあたしに、一見嬉しそうにも見える笑顔で、
「そっか」
そう言って、健吾の席に向かった。