私の青春、君の人生
たまらず袋に入っていたチョコを手にとった。
普通なら誰からなのかわからない食べ物なんて、絶対食べないのに。
そんなこと考えてる暇もなく、あたしの手はチョコを1つつまみ、口へと運んだ。
口の中に甘みが広がると、不思議と心が軽くなっていく気がした。
すとんと重りがなくなったみたいに。
一瞬。一瞬だけ。
モヤモヤが消えて、心が落ち着いた。
そっと席を立ち窓の外を見ると、たくさんの卒業生と在校生があふれていた。
ぼんやり上から眺めていると下からあたしを呼ぶ声が聞こえた。
「いつまで黄昏てるの!早く早く〜」
「ごめん今行く」
美月が呆れた顔で笑ったのを見てから、階段を駆け下りた。