COLORS~Blue~
「あ、はい。こんばんは」


俺の声は。
うわずってなかっただろうか。


『こんばんは。遅くにごめんなさい』
「いえ。全然、大丈夫です」


耳元に響く。
彼女の声…。

いつもよりも、近くに感じて…。

ただそれだけで、距離が縮んだと、錯覚しそうになる。


『お稽古だったの?』
「あ、はい。今日は祖父の稽古で…」
『そう。夕食の時に会えなかったから。忙しいのに、沙奈のお稽古ありがとう』
「いえ。自分の練習にもなりますから」


でも。


『ほんとに。無理はしてない?』
「はい。全く」
『そう…』


会話の内容からいって。
ほんとに、


―錯覚だな…


って感じで。
事務的な会話…。


『何だか話がそれたわね。私の、稽古の返事をしようと思って』
「あ、はい…!」


早くも。
核心。

まぁ。
その為のTELなんだけど…。

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