COLORS~Blue~
「きれいな蒼ね…」
「透子さんのイメージです」
「えっ?」
「この間、なんとなく空を見た時、透子さんみたいだな…って。透子さんのイメージで、買った茶碗です」
「─────」


透子さんを揺さぶろうと、とっさに出た言葉じゃない。
それはほんとで。

ただ。


「あ。わざわざ透子さんのために買ったわけじゃないですよ?透子さんのイメージだと思ったのはほんとですけど」


そう。
偶然、祖父のお供をした時、目に入って。


「でも。いつか、この茶碗で透子さんにお茶を点てられたら、とは思ってたんで。よかったです」


思わず、衝動的に買ってしまったものの。
これを買った時は、透子さんにこの茶碗でお茶を点てられることなんて、ないだろう、思ってた。

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