COLORS~Blue~
「透子、さん…」


背中から抱きしめていたはずの透子さん。


「もういい…」
「えっ?」
「もういいから。そんなに、自分を追いつめないで…」


その顔が、俺の方を向いていて。


「もう。それ以上は…」


それは。
透子さんの唇…。


「透子さん……」


俺は。
涙が伝う、彼女の頬に手を伸ばし、涙ごと、頬を包み込むと。


「────────」


俺に触れただろう、そのやわらかな唇に。
自分の唇を、そっと重ねた……。










< 355 / 370 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop