君が好きだと叫びたい
ゆっくりと起き上がり、乱れた服装のままでぼんやりと壁に飾られた写真を見つめる。


高校時代のクラス写真の中に紛れた幼なじみが、寄り添うように優しく、コチラに微笑みかけてくれていた。


記憶の中の彼は、いつだって温かくて、優しくて。


濡れる頬もそのままに、自然と携帯を手に取っていた。


心からはみ出す想いは、ただひとつ。


会いたい、大切な人に。


「タクトっ、」


涙で滲む視界で、必死に指を動かし文字を打つ。

《今度の日曜日、ヒマだったら会えないかな。》


胸から沸き起こる、心からの叫びを。


貴方に会って、確認したいことがあるの。


すると数秒後、何故かすぐに返信がきた。


そこには、《さすが幼なじみ。気が合うな、俺も同じこと思っていたよ。》と、綴られていて。


こんな時まで気が合うなんて、運命だねとひとり力無く、小さく呟いた。
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