君が好きだと叫びたい
すると、友人たちは額を抑えながらオーバーリアクションを取り始める。


「なんっでだよ!馬鹿か!ピュアか!男なら襲えよ!奪っちゃえよ色々と!そんなんだからお前はイケメンなのに彼女出来ねぇんだよ!」
「残念なイケメン、って言葉をホントよく体現してるよなぁ、タクトは。」


人の答えを全力で否定する男達の嘆きを無視し、大人しく鞄を机に置く。


付き合うとか付き合わねぇとか、そんなんじゃねぇんだ。

家が近いから一緒に登校する時もあれば、さっきみたいに漫画の貸借りで家に邪魔することもある。


休日だって予定が無ければ、”父の日”や”母の日”用のプレゼントを一緒に選んでくれと、アイツの買い物に付き合わされる事だってある。

おまけに、高校3年間、進学クラスだから同じクラスで過ごしてきた。


いつも一緒にいる時間が多すぎて、そんな”欲”なんて起こらねぇよ。

まさに空気なんだ、ミノリは。


側に居て、当たり前な存在。



(付き合うっつーことは、まぁ、キスしたりその先のことだってするんだろ?)


後ろで友だちと談笑している幼なじみに、チラリと視線を向ける。


「アイツとは考えらんねーな、そんなこと。」


俺は鼻で笑いながら、また近くに集まって来た友人たちとくだらない話を再開した。
< 4 / 22 >

この作品をシェア

pagetop