君が好きだと叫びたい
部活を終え、家に帰ってからシャワーを浴び、汗臭い身体を綺麗に洗い流す。
親に一言告げ、蛾の群がる街灯の明かりを頼りに、星空を見上げながらミノリの家へと向かう。
インターホンを押すと、夕飯の香りと共にエプロンを付けたおばさんが出迎えてくれた。
「あら!いらっしゃい、タクトくん。相変わらず男前ねぇ。おばちゃん、目の保養が出来て嬉しいわっ」
「ありがとうございます。あ、今日は漫画を取りに来ただけなんで、すぐに帰ります。」
「あら、そう。残念ね、せっかくお父さんもタクトくんと夕飯がたべれるって喜んでたのにぃ。」
肩を落とす優しいおばさんに、おふくろから渡された手土産を渡す。
「いえ、この間もご馳走になったんで、おばさんの手料理食べれないのは残念だけど、今日は遠慮しておきます。これ、母から『いつも息子がお世話になってるから』、って渡されました。どうぞ。」
「あらやだ!お母さんによろしく言っておいてね。」
一軒家の2階の窓から、ミノリがひょっこり顔を出す。
「あ、タクト〜いらっしゃい!早く上がって来てよっ」
いつもの様に彼女に急かされる俺を見ておばさんは、苦笑いしながら家に招き入れてくれた。
「タクトくんがミノリの彼氏になってくれたら、親戚一同大喜びなのに」、そんなことを呟きながら。