君が好きだと叫びたい
部屋に上がると、カラフルなタオル地の部屋着に身を包んだミノリがベッドに座り込み、俺の貸したスポーツ漫画を読み漁っていた。


「お前、漫画返すんじゃなかったのかよ。」

呆れたようにそう言うと、そんなことは御構い無しといった様子で、漫画片手に俺をベッドに手招きする。


「ちょいちょい!このシーンなんてさ、激熱じゃない?!ディフェンスに阻まれたかと思ったらさー、こういう大胆なパスしちゃう?!みたいなさ、」


「おー、そうそう。それで必死なパスが繋がって、主人公がシュート決める、って言うのがベタだけどまた良いんだよな。」


嗚呼、ヤベェ。

ついついミノリの漫画座談会にノッちまった。

でもこうしてダラダラ喋んのも、楽しいんだよなぁ。


すると彼女は目を輝かせながら、ぐっと拳を握る。


「やっぱりそうだよねぇ!そうだよねぇ?!いやー、流石は幼なじみだ。タクトとは何かとよく気が合うっ」


無防備で少女のような無邪気な笑顔を向けられ、つられて俺も笑った。


「ま、そうだな。」


すぐに帰るつもりが結局は1時間長居して、その日は帰路に着いたのだった。

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