君が好きだと叫びたい
でも、大学に入って一人暮らしを始めた今。


なぜあの日、友人たちがあれだけ背中を押してきたのか、分かる気がする。



....日常に、何かが足りなくなったんだ。


季節のイベント毎に買い物に駆り出されることも無ければ、買った漫画を貸して熱く語れる相手もいない。

心に大きな穴がポッカリと開いたかのように、満たされない大学生活。


「タクトくん、今日一緒に講義受けようよっ」


派手な格好をした女達が、そう誘いながら講義ごとに俺の腕を取ってくる。

作り笑いで対応するが、心の何処かでそれを否定している。


(違う、そうじゃない。アイツならこうする)って、女性達からの好意を拒絶している。


「なんでこんなにっ....、毎日がつまらないんだ。」

....何をしても胸が軋み出して、何処にいてもミノリの顔がチラついて。

誰と話していても等身大の自分なんて、どこにもいない。



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