パン屋の恋
はじまり
それは突然の出来事だった。


「すみません。」


振り返るととんでもないイケメンがこっちを見ている。


「え……?」

そのとんでもないイケメンはこっちを見たまま続けた。


「あの、店長さんいらっしゃいますか?」


わたしは一瞬頭が真っ白になったが、
すぐにアルバイトの面接だと察した。


「あぁ、はい!いま呼んできますね!」


慌てて事務所に戻ると、店長(40歳のおっさん)がぼりぼりとお土産で置いてあるお菓子を頬張っている。


「……あの、店長呼ばれてます。多分バイトの面接。」


「ああ…そうだった、今行くよ。」


今行くよと言ったくせに動く気配がない。
私は店に戻り彼をイートインの席に案内した。


「もうすぐ来るのでもう少し待っててください。」


「わかりました。」

ペコッと頭を下げた彼は、ゆっくり椅子に座った。


売り場に戻った私は
同じ時間帯に入っていた1つ下の女の子に話しかけた。



「ねえ……、イケメンきちゃったよ!」



それが私と篠田くんの出会い。




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