3月のパンタシア
ずっとこの気持ちは心にしまっておきたい、感情だった。

無くしたくないから何も変わらないこのままでいい、そう思ってた。

ある日のこと、司から呼び出された。

な、「蓮見先輩来たら、忙しいからとか言ってくれない??」「どうしてどうしたの?」「なにかあったの貴方たち?」「何もないよ」「何もないのになんで転校したとかいうの?」

「いやあ、実は生理がこないっていうんだ彼女」「そんなんだめじゃん、かわいそうだよ」「司がそんなに無責任な男だとは思わなかった」

(もう肉体関係まで行ってるんだ)知らなかった。

「生理がこないって、赤ちゃんができたってことじゃん」そうぶつぶつ裕子はつぶやいた。

「キチンとしなきゃいけないよ」「病院行くなら行くって」「なあ蓮見の病院一緒にいってやってくんない」「えっ」「私が?」「うん」


「お願いお願いだから」「仕方ないな」「これが最初で最後だよ司のお願い聞くの」「うん」

翌週の金曜日私と蓮見先輩は産婦人科にいた。

奥から機嫌の悪そうな看護婦が来て、「ここの問診票に、いろいろ体のことを書いてください」とやはり機嫌悪そうに話した。

「蓮見先輩、わかりますか?」
「ごめんね」「いえ」「こんなところまで付き合わせてしまって」
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