3月のパンタシア
蓮見先輩は悲しそうな顔で裕子を見た。

「裕子チャン忙しいのにごめんね」「いえ」「いいんです」「司の責任は私の責任だから」


「兄弟みたい」(なんか裕子は人がいいのにもほどがある)と思っていた。

「お腹とか痛みませんか?」「大丈夫」

そういうと蓮見は腰と足をさそっていた。「問診票かけましたか?」
「かけました」「ありがとう」「もう少しここでかけてお待ちください」そういうと不機嫌そうに看護婦は、また奥に引っ込んだ。

「順番に呼ばれるらしいですから」「うん」少し青ざめた顔をして、蓮見先輩は泣きそうな顔をしていた。少し司が信じられなくなった、女性を孕ませておいて知らん顔して、じぶんは病院にこない。

(無責任)そう思った。(なんだか知らない司の一面を見て少しだけ怖くなった)

「蓮見さん」そう奥から呼ぶ声がした、「あ、じゃあ行ってくるね。」「ありがとうここまででいいから」「はい」「ここで待ってますから」「うん」

蓮見先輩は奥の診察室に呼ばれて、入って行った。


奥からすすり泣く声がした・・・・・・・・・・・・・

(予感的中)妊娠してるな。

裕子は悪魔のようなことを考えた(下りちゃえばいいのに)子供下りちゃえばいいのに。


しばらくして蓮見が奥の部屋から戻ってきた、ぐしゃぐしゃに泣きはらした目を真っ赤にして。
< 13 / 17 >

この作品をシェア

pagetop