3月のパンタシア
そんなこんなで、私は蓮見先輩の手紙を律儀に渡して、家路についた。

明日から私も部活、私は美術部に入って、ひたすら絵を描いている。

将来の夢は学校の先生になって、美術の先生になること。

それで、好きな絵を描いて、一生のんびりしてやってくこと。

なので第一志望の、瑞陵の美術部はいりたいんだ、だから一生懸命今、絵を描いてる。

内緒だけど今描いているのは司、誰にも秘密。

もしみられたら私死にたいくらい恥ずかしいだろうな。

もう夕方冬だから夜が更けるのはやい、とぼとぼと家路を急いだ。

私の住んでるマンションのそばには、たこ焼き屋さんとか、お好み焼き屋さんとかたくさんあって、ダメなんだけど買い食いする。


「お母さんただいま」「お帰り」「寒かったでしょ」「ううん」「寒くないよ」

そうやっていつも、お母さんは温かい優しい言葉をかけてくれる。

ふと司を思いだしていた、違うんだよね全然家庭環境が。

仕方ないのかな最近の荒れ方ってないし。「お母さん司のことこの間話したでしょ?」「今度一緒にマンション呼んでごはん食べたいなお母さん」やっぱり家のマミーは優しい。

司の寂しさをわかって気遣ってくれる。
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