3月のパンタシア
「何度も何度も同じこと言わせるな」「うん」「さびしかったんだずっと私」「ごめん淋しい思いさせて」


「いいよわかれば」「本当?」「怒ってない?」そうやって少し蒸気がかった頬を、赤らめた。

そっと司は、裕子のおでこにキスをした。「な、何?」「誓いのキス」「何それ」裕子はびっくりして、身じろいだ。

ドキドキが最高潮になった。そこから司はそっと裕子の手を握ってきた、(えっ)そして手をつなぎながら家に付いた。

「まあいらっしゃい」「早かったのね」「うん」「買い物は?」「もう、済んでる」「後は切った野菜を鍋に入れて煮るだけ」「なん?」「すき焼き」

「司好きだったでしょ」「好きだった、良く覚えてんな俺の趣向なんて」「うん」「幼馴染だもん」「そっか」


「緑は?」「緑ちゃんはもう奥の部屋にいるよ」「奥の部屋にいる??」


「緑!!来てたんだ」「うん」「今日はすき焼きだよー」「おいしそう」「二人とも家庭の愛、味に飢えてると思って。

「うん飢えてる飢えてる」「そこで少し待ってて」「今野菜を切ってくるから」「あ、私も付き合うよ」「いいよお客さんは待ってて」


30分位たったろうか・・・「お待たせー」「さっ食べよ」。
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