Open Heart〜密やかに たおやかに〜
「シュウちゃん……わたし」
何から話すべきだろう。
何から謝るべきだろう。
考えていたら、シュウちゃんが頭を下げてきた。
「本当にごめんな。樹里。山田課長に聞くまで、樹里が親父に…金で契約なんかさせられてるなんて、全然知らなくて」
「え、どうして、悪いのは…」
「悪いのは、不甲斐ない俺だよ。親父の言いなりにやってきた俺のせいだ。俺は、親父のいいなりになれば、樹里や樹里の家族がお金に心配しなくて済む…それなら、俺が我慢すれば…そう思ったんだ」
「シュウちゃん」
「本当にごめんな。誰にも相談できずに苦しかっただろ」
「シュウちゃん」
ぎゅっとシュウちゃんに抱きしめられた。
抱きしめられただけで、我慢していた涙が溢れ出した。
「シュウちゃん……わたし」
私は、シュウちゃんの名前を呼ぶことしか出来ないでいた。
「樹里、ごめんな。俺のせいだ」
頭を横に振りながら、シュウちゃんの腕の中でシュウちゃんの顔を見上げた。
涙のせいで、だらしなく歪んで見えるシュウちゃん。
「シュウちゃん、わたしね、シュウちゃんが好きなの。諦められない、諦められなかったの、ごめんね」
「なんで謝るんだよ。諦められないくらい俺が好きなんだろ?」
コクリと頷く。
「じゃあ、謝らないでいいよ。俺も同じだ。親父と契約しときながら、結局、樹里を諦められなかったんだから」
「シュウちゃん」
何もかもが違う環境で育って、何もかもが違う境遇の私達。
それでも、私はシュウちゃんを好きで諦められない。
今、シュウちゃんを諦めることは、私には不可能だった。
「俺、樹里が山田課長と一年も前から付き合ってるとか言われて、信じられなかったし、ショックだった。けど、樹里が幸せになれるなら見守ろうって、諦めようって、決心してたんだ」
シュウちゃんは、私の髪を優しくなでながら話を続けた。
「正直、樹里が山田課長にベタベタ触られたり、ほっぺにキスされたりすんの見て、ショックで死にたい気分だった。でも」
再び、シュウちゃんに強く抱きしめられる。
「良かったぁ〜。樹里がまだ、俺のこと好きでいてくれて、こうして、抱きしることが出来て」
この匂いだ。シュウちゃんの優しい匂いが好き。思い切り、シュウちゃんの匂いを吸い込み、胸に顔を埋める。
シュウちゃんがいれば、私はきっと何もいらない。シュウちゃんがいれば、必ず乗り越えられる。
「樹里」
「ん?」
顔を上げた途端にキスされた。
久しぶりのキスになんだか照れ臭くなる。
お互いのひたいをくっつけて照れ笑いをして恥ずかしい気持ちを誤魔化した。
それから、2人して少しだけ空を見上げた。
見上げたままでシュウちゃんが言った。
「俺、本当の意味で親父から自立するよ。少し、いや、もしかしたらかなり苦労させるかもしれない。それでも……樹里…俺についてきてくれる?」
水色の空をバックにしてシュウちゃんが、真剣な表情をみせていた。
こういう真剣な顔をするシュウちゃんも大好きだ。でも、私が一番好きなシュウちゃんの顔は……。
「うん、もちろんだよ」
シュウちゃんがにっこりと頰に笑い皺を刻んで笑った。
そう、これが私が一番好きなシュウちゃんの顔だ。
シュウちゃんの手を握り、私の指をシュウちゃんの指に絡めた。
良かった。
シュウちゃんと繋いだ手は、ちゃんと温かい。
ここにシュウちゃんがいる。
隣にいつも大好きな人がいるなら、この先に待つ沢山の困難も乗り越えられる、そんな気がした。
何から話すべきだろう。
何から謝るべきだろう。
考えていたら、シュウちゃんが頭を下げてきた。
「本当にごめんな。樹里。山田課長に聞くまで、樹里が親父に…金で契約なんかさせられてるなんて、全然知らなくて」
「え、どうして、悪いのは…」
「悪いのは、不甲斐ない俺だよ。親父の言いなりにやってきた俺のせいだ。俺は、親父のいいなりになれば、樹里や樹里の家族がお金に心配しなくて済む…それなら、俺が我慢すれば…そう思ったんだ」
「シュウちゃん」
「本当にごめんな。誰にも相談できずに苦しかっただろ」
「シュウちゃん」
ぎゅっとシュウちゃんに抱きしめられた。
抱きしめられただけで、我慢していた涙が溢れ出した。
「シュウちゃん……わたし」
私は、シュウちゃんの名前を呼ぶことしか出来ないでいた。
「樹里、ごめんな。俺のせいだ」
頭を横に振りながら、シュウちゃんの腕の中でシュウちゃんの顔を見上げた。
涙のせいで、だらしなく歪んで見えるシュウちゃん。
「シュウちゃん、わたしね、シュウちゃんが好きなの。諦められない、諦められなかったの、ごめんね」
「なんで謝るんだよ。諦められないくらい俺が好きなんだろ?」
コクリと頷く。
「じゃあ、謝らないでいいよ。俺も同じだ。親父と契約しときながら、結局、樹里を諦められなかったんだから」
「シュウちゃん」
何もかもが違う環境で育って、何もかもが違う境遇の私達。
それでも、私はシュウちゃんを好きで諦められない。
今、シュウちゃんを諦めることは、私には不可能だった。
「俺、樹里が山田課長と一年も前から付き合ってるとか言われて、信じられなかったし、ショックだった。けど、樹里が幸せになれるなら見守ろうって、諦めようって、決心してたんだ」
シュウちゃんは、私の髪を優しくなでながら話を続けた。
「正直、樹里が山田課長にベタベタ触られたり、ほっぺにキスされたりすんの見て、ショックで死にたい気分だった。でも」
再び、シュウちゃんに強く抱きしめられる。
「良かったぁ〜。樹里がまだ、俺のこと好きでいてくれて、こうして、抱きしることが出来て」
この匂いだ。シュウちゃんの優しい匂いが好き。思い切り、シュウちゃんの匂いを吸い込み、胸に顔を埋める。
シュウちゃんがいれば、私はきっと何もいらない。シュウちゃんがいれば、必ず乗り越えられる。
「樹里」
「ん?」
顔を上げた途端にキスされた。
久しぶりのキスになんだか照れ臭くなる。
お互いのひたいをくっつけて照れ笑いをして恥ずかしい気持ちを誤魔化した。
それから、2人して少しだけ空を見上げた。
見上げたままでシュウちゃんが言った。
「俺、本当の意味で親父から自立するよ。少し、いや、もしかしたらかなり苦労させるかもしれない。それでも……樹里…俺についてきてくれる?」
水色の空をバックにしてシュウちゃんが、真剣な表情をみせていた。
こういう真剣な顔をするシュウちゃんも大好きだ。でも、私が一番好きなシュウちゃんの顔は……。
「うん、もちろんだよ」
シュウちゃんがにっこりと頰に笑い皺を刻んで笑った。
そう、これが私が一番好きなシュウちゃんの顔だ。
シュウちゃんの手を握り、私の指をシュウちゃんの指に絡めた。
良かった。
シュウちゃんと繋いだ手は、ちゃんと温かい。
ここにシュウちゃんがいる。
隣にいつも大好きな人がいるなら、この先に待つ沢山の困難も乗り越えられる、そんな気がした。