Open Heart〜密やかに たおやかに〜


心配しなくていい、ごはん位行ってくればいいとシュウちゃんに言ってもらったので、せっかくだから私は宮本くんとごはんを食べる約束をした。


待ち合わせ場所は、私の会社から近い駅の東口改札辺り。

キョロキョロして辺りを探した。

「宮路〜、ここ」
駅の端に出ているたこ焼き屋さんの出店前に大きな男が立っている。

宮本くん?

なんと、これから夕飯を食べに行こうと言っていた人が、たこ焼きのパックを左手に持ち、箸を持った右手で私に向かい手を振っていた。

「もう、なんでたこ焼き食べてんの?」
近くに行ってから聞いてみた。

「食う?」
シュウちゃんはパックに入っている残り1つしかないたこ焼きを私の前に出してくる。

「いらない。ごはん食べに行かないの?」

「行くよ。その前に腹が好きすぎてな」
たこ焼きを口へ放り込み宮本くんは、パックをたこ焼き屋さんの横に置いてある青いバケツへ入れた。

「さ、お待たせ。居酒屋でいーか?それともお前は、もしや居酒屋とか行かねぇとか言う女か? それなら」

「全然、居酒屋でいいよ」

「そうか。良し! しかしさぁ〜」
改めてというように宮本くんは、私を上から下まで眺めた。

「宮路、いやぁ、お前さぁ、マジで懐かしいよ」

「うん。そうだね。9年位経つよね」

「ああ、信じられね〜。お前って、ほんとに変わんね〜な」

「あのさ、それ褒めてるんだよね?」
逆のような気がしたが、一応確認のために聞いてみた。

「いや、全然。髪の毛が伸びただけで他には全然変わってね〜。逆にすげ〜よ」

「髪だけで、あとは中学生のままだとでもいいたいの?」

「そう。背も一緒だろ? 変わんね〜」

信じられない男だ。
確かに背は中学で止まった。だけど、本当なら久しぶりに再会した同級生に「綺麗になった」とか「大人になった」とか「色っぽくなった」とか言うのではないだろうか。

なのに、髪の毛が伸びただけってどういうことだ。

宮本くんの性格は、あの頃のままだ。ズケズケと本音を隠さずに言ってしまうところ。きっとこんな風では世辺り下手に違いない。気の毒に出世もしないだろう、そんな風に思った。

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