Open Heart〜密やかに たおやかに〜
2、幸せな毎日
「お先に失礼します」と、どんどん皆は帰っていく。
「宮路、この資料をコピーしてくれ」
課長が私を呼んでいた。
「はい」
いそいそと歩き、課長のデスクへ近づく。
課長が出してきた資料を手にして、コピー機に向かう。
手にした資料の1番上に黄色いメモがクリップで留めてあった。
メモに書かれた文字を読みながら歩く。
コピー機の前に来ると課長の方を振り返らずにコピー機の1番上にあるフタを開く。
黄色いメモ用紙はジャケットのポケットに入れ用紙をセットする。そして、蓋をしてからコピー機のボタンを押した。
「宮路、それ終わったら帰っていいから」
課長の声が背後からとんできた。
「はぁい」
背筋を伸ばして返事をする。
もしかしたら、今の返事が可愛い子ぶって聞こえたかもしれないと、少し反省もした。
コピー機が作動しているのを確認してから、くるりと回転して窓の側にある課長の席を眺めた。
パソコンに向かっている課長がいる。
真剣な顔していた。
まさに仕事の出来る男って感じだ。
自然と頰が緩んでくる。頭を少し左に傾け、課長をそっと見つめた。
やっぱり、なんだかんだ言っても素敵なんだよなぁ。
はっきり言って課長は、ため息が出る程に素敵なタイプの男性だ。
細くて形のよい高めの鼻、はっきりした唇。その、どれもが私好みだ。
わぁお、なんてカッコいい!
心の中で叫んでみた。叫んでから、くるりと回転してコピー機に向かう。
コピー出来た用紙を取り出して、どうしてもニンマリしてしまう顔を引き締めようと頰に力を入れた。