Open Heart〜密やかに たおやかに〜
「ラブラブだね〜、樹里たち」
自分のフロアに戻ると、マキが寄ってきて私の腕を掴んだ。
「え?」
「とぼけないの、いーなー、職場恋愛って。不倫でもない限り、昼間も近くにいられるし、いちゃいちゃ出来るし」
「見てたの?食堂で?」
「見てましたよ。おかずなんか交換しちゃって、なんだか、仲良しだよねー」
「そお?」
「でもさ、あのクールメガネイケメンな山田課長が、目を細めて樹里のこと見てる所なんか見せつけられたら、なんか私も絶対に彼氏欲しくなってきたから!」
「マキってば、声、大きいよ」
エキサイトするマキをなだめた時、デスクに戻ってきたシュウちゃんに気がついた。
シュウちゃんは、早速パソコンへ向かって仕事を始めている。
「ね、樹里はさ山田課長のやっぱ、顔が好きなの?メガネイケメン。樹里って、さっぱりした顔がタイプだったっけ?」
樹里の質問は、次々に飛び出してくる。
「それにさ、なんで付き合いオープンにしたの?やだ、もしかして、結婚?!」
結婚という言葉を用いた会話に周りにいた社員たちが食いついてきた。
「なに?結婚するの?宮路さん」
「誰と誰が?」
「社内恋愛とか聞こえたけど〜」
それぞれが一気に質問してきた。
「あの……えっとですね」
返事に困っていた私。ふと顔を向けた視線の先にシュウちゃんの顔が見えた。