BLACK DOBER --君だけに--
「まだもなにもないの!」
怒ってそっぽを向くとこっちこい、と言って私の手を引っ張って倉庫の2階部分へと行く。
「え、なに!?」
部屋に入ると天翔はどかっとソファに座ってこっちを見ている。
「ねぇ、なんなの…」
すると、こっちこい、とまた私に向かって言う。しかもポンポンと自分の足の間を叩いているのだ。
「え、絶対むりだよ!」
「へー、意識しちゃってんの?かわいー」
その言い方にカチンとくる。
「そんなことあるわけないでしょ!」
「じゃあこいよ。」
だめだ…行くしかない…
そっと天翔に近づくとグイッと引っ張られて足の間に座らされる。
ドキドキしすぎて死にそう。
この鼓動が天翔に聞こえないようにするのが精一杯だった。