闇喰いに魔法のキス
「専属の情報屋さん、ってことですか?」
私の問いかけに、彼は「まぁ、そんなもんだな。」と答えた。
私は続けて情報屋の青年に尋ねる。
「あなたの主人って、誰なんですか?」
「こりないな、嬢ちゃんは」
彼は「言うわけないだろ」と言わんばかりの顔で私を見つめる。
そっか、普通の人には情報を教えてくれないんだ。
どうしよう、また“ギル探し”が振り出しに戻っちゃった。
私が落ち込んでうつむいていると、カウンターから銀髪の青年がこちらに向かって近寄ってきた。
そして、私を見下ろし口を開く。
「お前…まさか、ギルに会おうとしてるのか?」
その言葉に、ばっ!と顔を上げる。
碧い瞳と目が合った瞬間、私は答えた。
「はい…!どうしても聞きたいことがあるんです。助けてもらったお礼もしっかり言えていないし…」
すると、私の言葉を聞いた銀髪の青年は何かを考え込むように眉間にシワを寄せる。
どうしたのかな…?
その時、ソファに座っていた情報屋の青年が、銀髪の青年に向かって声をかけた。
「なぁ、レイ。ひとまず嬢ちゃんを家に帰した方が良い。…ずっとここいさせるわけにもいかない」
確かに、情報が貰えない以上、酒場に長くいるのは良くないかもしれない。
私はお客ではないわけだし…。
その言葉に、レイと呼ばれた青年は頷き答える。
ここは諦めて、ギルに会える違う方法を探そう。
私は、ソファに座る漆黒の青年に小さく頭を下げた。
「急に訪ねて、すみませんでした。お話聞いてくれて、ありがとうございます」
すると、漆黒の髪の青年は、ジュッ、とタバコを灰皿に押し付け、色気のある瞳で私を見上げながら言った。
「いや、力になれずに悪かった。俺の名前はロディ。…また縁があったら会おうな」
ロディは私へ小さく微笑むと、再びカタカタとパソコンを操作し始めた。