闇喰いに魔法のキス
*禁忌のリバウンド
ドォン!!
衝撃波が辺りに広がり、お互いの体が弾かれたように左右に飛んだ。
相手の魔力と共鳴し合い、反発する力が全身を襲う。
まるで、同じ極同士の磁石を無理やり近づけたみたいだ。
エンプティは、ギラリ、と俺を睨みつけて腕をまっすぐ前に突き出した。
そこから黒いイバラが放出される。
「っ!」
襲い来るイバラを紙一重でかわし、瞬間移動魔法でエンプティの背後へと回り込む。
しかし、奴はそれを読んでいたかのように、俺に背中を向けたまま回し蹴りをした。
タン!と地面を蹴り、それをかわしながら魔力を放出する。
空中からエンプティに向かって刃を飛ばすと
エンプティはブワッ!と瞳を輝かせ、全ての刃を力ずくで消していった。
俺とエンプティの間に、魔力の衝突で生まれた煙が立ち込める。
…!
くそ、エンプティがどこにいるのか見えねぇ…っ!
と、次の瞬間
煙で視界が遮られた向こうから、間髪入れずに漆黒の矢が飛んできた。
!
一瞬の隙を突かれた俺は、体をかすめた矢に顔を歪める。
タン!と地面に降り立つと、肩から流れた血が地面に落ちた。
…かすり傷でこのダメージか。
貫かれたら完全にあの世行きだ。
辺りに吹いた突風が、煙を吹き飛ばしていく。
エンプティの姿が視界に入った、その時。
奴は、一気に俺との距離を縮めた。
はっ!と目を見開いた瞬間
エンプティの拳が俺の腹部に直撃した。
ドッ!!
鈍い音とともに、数十メートル先まで吹っ飛ばされる。
「がはっ…っ!」
地面に叩きつけられた時
エンプティは俺の上空にいた。
「!」
奴は、大きな魔力を放出して俺に向かって漆黒の矢を手に襲いかかった。
とっさに体を反転させて攻撃を避ける。
エンプティの矢が地面に突き刺さった衝撃で土埃が舞った。
…防戦一方だ…!
奴に攻撃を仕掛けられない…っ!