闇喰いに魔法のキス
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「えっ、クビ…ですか!」
月が夜空に輝く午後八時。
バイト先の雇い主の男性に呼び出され、衝撃的な事実を告げられた。
「あぁ、悪いねルミナちゃん。
取引先が闇の奴らに襲われたせいで仕事が減って、もう君を雇う余裕がないんだよ」
そ、そんな。
何も言えずに目をパチパチさせていると、男性は「じゃあ、そういうことだから」と言い残し、店の中へと入っていく。
パタンと閉められた店のドアを、放心状態で見つめ続ける。
うそ…でしょう?
必死で動揺を押さえ込みながら、くるりと店に背を向け、ゆっくりと歩き出しながら今までのことを思い返す。
私の名前はルミナ。
歳は十七で、性別は女。
幼い頃から、ここ、サンクヘレナで育ってきた。
私のお父さんは、古代の魔法書などを研究する魔法学者。
そして、上級の魔法使いでもあった。
お父さんは魔法学者の世界では知らない人はいないほどの実力者だったらしいけど、二年前に過労で倒れ、そのまま亡くなってしまった。
ちなみにお父さんの魔力は私に遺伝しなかったみたいで、私は普通の人間。
私はずっとお父さんと二人で暮らしてきたから、一人になった二年前からは自分でお金を稼がなくてはいけなくなった。
お父さんは有名な魔法学者だったと言っても、私が幼い頃に研究所を辞めてしまったから、遺してくれたお金もあまりない。
…そして私はやっと見つけたバイト先を、つい二分前にクビになった。
「また…仕事を探さなきゃ…」