闇喰いに魔法のキス



ふぅ…。


なんか、すごく疲れたな。


レイの方へと目をやると、レイはソファの上でもぞもぞしている。


私は酒場の奥へと入り、コップに水を注いだ


そして、ソファで身じろぎするレイにコップを差し出す。



「レイ、お水。起きて飲んで?」



レイは、ゆっくり起き上がって

こくこく、と水を飲み干した。


まだ、少しぽーっ、としている。



…もう、大丈夫かな?


私も、部屋に戻ろう。



私は、テーブルにコップを置いたレイに向かって声をかける。



「じゃあ、ゆっくり休んでね。

おやすみ、レイ。」



私がその場を立ち去ろうとした

その時だった。



ぱしっ。



レイが、私の手を掴んだ。


胸がどきん、と鳴る。



「レイ……?」



私が小さく彼の名を呼んだ時

レイの熱のこもった声が酒場に響いた。



「───行くなよ。」



「っ!」



さっきまでの子どもみたいな声とは違う。

誘うような、甘い声。


ぐっ、と手を引かれ

私はそのままソファへと倒れこんだ。


状況を理解する暇もなく、ぐいっ、とレイの腕へと引き込まれる。


レイは、ぎゅうっ、と私を抱きしめ

そして耳元で甘く囁いた。



「……ずっと側にいろよ。」



掠れたその声は、色香を帯びて私の中へと溶け込んでいく。


服越しに伝わる体温が、いつもより熱い。



「レ…レイ、酔っ払ってるよね…?」


「酔ってなかったらこんなこと言えねー…」



そ、そうだよね…。


いつものレイと違うから、どう接すればいいのか分からない。



レイは、熱を持った声で続けた。



「…ルミナ。今日は一緒に寝ようぜ。」






それは、初めてデートした日の夜と同じ言葉


しかし、優しいだけのトーンだったあの日とは違う。



何も考えられなくなるような、甘い声。



私は、必死に動揺を押し込めながら答える。



「ここ、ソファだし…っ!

狭くて二人じゃ寝れないよ…っ!」



「ん…。じゃあ、ベッド行こ…。」



「えっ?!!」



レイは、ソファから起き上がって

私をふわりと抱きかかえた。



!!



ちょ、ちょっと待ってっ!!



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