残業だと勝手に思い込んで、伊勢谷さんと一緒に食事をした。

美味しい料理とケーキに舌鼓を打って、誕生日を祝ってもらって、そのうえプレゼントまでもらってしまった。

あたしが伊勢谷さんと一緒に食事を楽しんでいる間、朝比奈さんはこのリビングであたしが帰ってくるのを待っていた。

会社の帰りにケーキを買って、たくさんのプレゼントを買いこんで、スーパーマーケットで食材を買って、家に帰ったら壁にかわいらしい飾りをつけて、料理をたくさん作って、あたしが帰ってくるのを待っていた。

――小春ちゃんの誕生日をお祝いする

その宣言通り、彼はあたしの誕生日を祝おうとしてくれていた。

「小春ちゃん?」

朝比奈さんがあたしの名前を呼んだ。

「――ご、ごめんなさい…」

それに対して、震える声で謝罪を言うことしかできなかった。

「えっ、何が?」

朝比奈さんは訳がわからないと言うように聞き返してきた。
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