「遠慮なんてしていませんよ」

あたしは首を横に振って答えた。

事実、これと言って食べたいものは特に思い浮かばない。

「そう…じゃあ、簡単なもので済ませるから」

朝比奈さんはそう言うと、部屋を後にした。

簡単なものか…。

お手並み拝見だと思って見てみるか。

さて、リビングでテレビを見ながら待つことにするか。

そう思ったあたしは彼の後を追うように部屋を後にした。

簡単なものと言ったら、湯豆腐とかラーメン辺りが妥当かな?

お菓子は作るけれど、料理まではしたことがないからよくわからない。

とりあえず、待ってみよう。
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