「――あれ、小春ちゃん…?」

あたしを見ている朝比奈さんの目は熱で潤んでいた。

あっ、何か色っぽいかも…じゃなくて!

「おかゆを作ったんですけど…食欲、ありそうですか?」

そう聞いたあたしに、朝比奈さんはゆっくりと上半身を起こした。

「おかゆって、小春ちゃんが作ったの…?」

朝比奈さんは呟くように聞き返すと、首を傾げた。

あたしが作ったも何も、
「あたし以外の誰がいると思ったんですか?」

我ながら生意気な言葉が口からこぼれ落ちた。

「ああ、そうだったね…」

朝比奈さんはフフッと笑った。

結構生意気なことを言ったのにも関わらず、彼は全く動じていないみたいだ。
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