いつもの態度で、朝比奈さんに接することができない。

あたし、どうやって朝比奈さんと接していたんだ?

「救急箱に風邪薬が入ってるから30分経ったら水と一緒に持ってきてね」

そう言った朝比奈さんの具合はどこかよくなっているように感じた。

まだよくわからないけれど。

「はい、わかりました」

あたしは返事をすると、空っぽになった土鍋に小皿とレンゲを入れた。

それを持ちあげると、
「失礼しました」

あたしは部屋を後にした。

流しに土鍋を置くと、あたしは息を吐いた。

胸に手を当てて、先ほど感じた気持ちを振り返る。

――あたし、朝比奈さんのことを愛おしく思った…?

初めて作ったにも関わらず、朝比奈さんは“美味しい”と評してくれて、少しも残さずに全部食べてくれた。

38度も熱があって具合が悪いはずなのに、彼は米粒1つも残さなかった。
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