第7章*浮気
「ありがとうございました、またお越しくださいませー」

店員の声を背中で聞きながら、コンビニを後にした。

新発売のチョコレート菓子がいくつかあったので思わず買ってしまった。

…別にいいよね、自分で働いて稼いだお金で買っているんだから。

そう思いながら自転車のかごに袋を入れた時、
「あっ…」

制服姿の、手を繋いで一緒に歩いている高校生の男女が視界に入った。

あれ、どう見てもつきあっているな。

本当のところはどうなのかはよくわからない――もしかしたら、ふざけて手を繋いでいるのかも知れない――けれど、あたしは彼らが交際しているように思えた。

彼らはそんなあたしに特に気づいていない様子で、あたしの前を通り過ぎて行った。
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