先ほどと同じ何も答えないあたしに、
「ご飯は食べてきたの?」

母親が質問を変えた。

そう言えば、帰ってから何も食べていない。

「まだ…」

呟くように質問に答えたら、
「わかった、すぐに作ってあげるから」

母親は首を縦に振ってうなずくと、部屋を後にした。

気持ちがフワフワとしている原因は、お腹が空いていたからなのか。

母親の後ろ姿を見送ったあたしはそんなことを思った。

朝比奈さんと揉めたから、ご飯を食べるのを忘れてしまった。

と言うか、朝比奈さんがご飯を作ってくれなかったから…なんて、彼のせいにしたって仕方がないだけである。

母親が持ってきた来客用のふとんを敷くと、横になった。
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