テーブルのうえには白いご飯と大根と油揚げのみそ汁と目玉焼き、きゅうりの浅漬けがあった。

すごいな、旅館の朝食みたい。

「さあ、食べようか」

朝比奈さんがそう言って椅子に腰を下ろしたので、あたしはその向かい側の椅子に腰を下ろした。

「いただきます」

朝ご飯を食べないとやって行けないことには変わりはない。

箸で黙々とつまみながら口に入れていたら、
「何かしゃべらない?」

朝比奈さんが声をかけてきた。

「何をですか?」

あたしは言い返すと、きゅうりの浅漬けをパリポリと噛んだ。

一体何をしゃべろって言うのよ。

心の中で呟いたら、
「楽しい食事はおしゃべりからって言うじゃない」

朝比奈さんが言ってきた。
< 14 / 275 >

この作品をシェア

pagetop