「はい」

あたしは首を縦に振ってうなずいた。

「彼は、あたしの夫です」

初めて人前で、朝比奈さんのことを“夫”だと言った。

「おっ…だ、旦那さんと言うことですか?」

店長が驚いたと言うように目を見開いて聞き返してきた。

「田ノ下さん、結婚していたんですか?」

伊勢谷さんも驚いていた。

「実は数ヶ月前に結婚をしたんです。

突然のことだったのでいろいろとバタバタしてしまって…。

状況が落ち着いたら報告しようと思っていたんですけれども、タイミングを逃しちゃって…」

あたしは頭を下げると、
「今まで黙っててすみませんでした。

ちゃんと報告しようと思っていたのは本当なんです」
と、言った。
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