「もう結婚は無理なんだろうなって思っていたら、父親が小春ちゃんとの結婚話を出してくれたんだ。

いろいろな噂が流れて、噂のせいで女性たちからは疫病神扱いされて…もしこの話を受けなかったら、俺はこの先誰とも結婚できないんだろうなってそう思った」

「だから、あたしと結婚した訳なんですか…」

あたしがそう言ったら、朝比奈さんは首を縦に振ってうなずいた。

「自分でも我ながら無謀な挑戦だなって思ったよ。

父親同士が親友とは言え、その子供である夫と妻は初対面。

小春ちゃんの言う通り、交際期間は0日でお互いが何も知らないのも同然で結婚だからね。

でも20年、30年と考えたら、隣に相手がいた方がいいかなって思ったんだ」

「そんな理由だったら、あたしじゃなくてもよかったんじゃないですか?

何もあたしで妥協しなくても、適任はいたと思います」

あたしが言ったら、
「でも、今は小春ちゃんじゃなきゃダメだって思ってる」

朝比奈さんが言い返した。
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