そう思いながら次の言葉を待っていたら、
「まずは、恋人同士としてお互いを知ることから始めよう」

朝比奈さんが言った。

「…はい?」

恋人、ですか?

言われたあたしはどう返せばいいのかわからなかった。

「お互いを知らないことに不満を抱いているならば、まずは恋人として仲を深めて、そこから少しずつお互いのことを知って行こう」

朝比奈さんが説明してくれたけど、何が何やらさっぱりである。

「えーっと…」

それだったら、友達からでもいいのでは…?

「一緒に暮らして時間が経っているんだし、恋人から始めた方がやりやすいんじゃないかと思うんだ」

あたしの頭の中を読んだと言うように、朝比奈さんが言った。

「それでもダメだった場合はどうするんですか?」

あたしは聞いた。
< 164 / 275 >

この作品をシェア

pagetop