あんなにも離れて欲しいと思っていたはずなのに。

なのに、今は離れてしまったことにガッカリしているのは何故だろう?

「小春ちゃん?」

朝比奈さんがヒラヒラと、あたしの前に手を振った。

「…えっ、はい」

返事をするだけなのに遅れてしまった。

朝比奈さんがあたしを見つめてきたけど、あたしは彼の顔を見ることができなくて目をそらした。

それでも、朝比奈さんがあたしの目の前にいることには変わりはない。

あたし、これ以上この場にいたらおかしくなりそう…。

「…おやすみなさい」

いつもの調子で、いつものようにあいさつができただろうか?

「うん、おやすみ」

返してきた朝比奈さんの声から逃げるように、あたしは自室に駆け込んだ。
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