「何か見たい映画ある?

あったら、小春ちゃんにあわせるけど」

そう言った朝比奈さんに、まだ見る映画のことを決めていなかったことをあたしは思い出した。

「朝比奈さんが見たいもので結構です」

あたしは言い返した。

そもそも、今回のことを提案してきたのは彼だ。

「本当にいいの?

見たい映画があったら言ってもいいんだよ?」

あたしの返事に納得していないのか、朝比奈さんは首を傾げた。

「特に見たいものはないので」

そう言ったあたしに、
「そう…わかった、明日は11時に家を出るから」

朝比奈さんは言った。

「はい、おやすみなさい」

「おやすみ」

あたしは自室へと足を向かわせた。

中に入ると、ベッドのうえに置いてあったスマートフォンを手に取った。
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