「じゃあ、お先にお昼に行ってきます」

「はい、行ってらっしゃーい」

時計が12時を指差したので、あたしは職場である水産部を後にした。

食事はこの中にある食堂で食べることが基本だけれども、家が近い人は自宅でお昼ご飯を食べてからまたくると言う人もいるそうなのであたしはそちらの方を利用させてもらっている。

「でも実家を出たんだけどね」

誰もいない更衣室で呟くと、あたしはカバンを持って出て行った。

当然朝比奈さんは会社に勤めているので、家に帰ってもお昼ご飯はない。

この近くにコンビニもファーストフード店もあるし、しばらくはそこでお昼ご飯を済ませることにしよう。

自転車でコンビニに向かいながら、
「そうだ、来週のライブのことを話さなきゃ」

あたしは呟いた。
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