てっきり反対されるだろうと思っていただけに、その反応は驚いた。

「もうそろそろで約束の半年も近づいてきてるんだし、最後の思い出作りだと思って行ってきたら?」

そう言った朝比奈さんに、あたしは仕事の契約期間を思い出した。

もうすぐで半年を迎えるんだ。

仕事を辞めて家庭に入ることを勧めてきた彼に、半ば苦し紛れに出した残りの契約期間はもうわずかである。

そうだ、すっかり忘れてた…。

あたし、後少しで仕事を辞めないといけないんだ…。

朝比奈さんは半年の契約期間が終わったら、すぐに仕事を辞めろと言っている。

「あの、朝比奈さん…」

話を切り出そうとしたら、
「間もなく、上映を開始します」

そんなアナウンスが聞こえたのと同時に、それまでついていた照明が落とされた。

映画が始まった。
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