伊勢谷さんはあたしに顔を見せると、
「改めまして結婚おめでとうございます」
と、言った。

「はい、ありがとうございます」

あたしはお礼を言った。

こうして伊勢谷さんと2人で話すのは、あの口論事件以来だった。

仕事でも彼と顔をあわせて話すことはあったけど、大半は事務的なこと、そのうえ各務原さんか野々村さんのどちらかがその場にいるので2人で話すのは本当に久しぶりだった。

「今さらこんなことを言うのもあれなんですけど…僕、田ノ下さんのことが好きだったんです」

伊勢谷さんはそう言うと、あたしから目をそらした。

「えっ、はい…?」

伊勢谷さんがあたしのことを好きだった…?

突然の告白に、あたしは戸惑うことしかできなかった。

告白自体も初めてだったので、どう対応すればいいのかわからない。
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