ユラリ、ユラリ…と、まるで船に乗っている気分だ。

テキーラって結構強いお酒だったんだな…。

グラスに口をつけて飲んだ瞬間、あっと言う間に意識がどこかへ飛んじゃったよ…。

あたし、大丈夫かな?

お酒はそんなに飲めないんだよね…。

急性アルコール中毒を起こして救急車で病院に運ばれたらどうしよう…。

ヘタしたら死ぬ…なんてことはさすがにないかも知れないけど、そうなる前にちゃんと言いたかったな。

「――朝比奈さんが好きだって…」

「えっ?」

下から聞き覚えのある声が聞こえた。

…はい?

今の声って、朝比奈さんだよね…?

そう思ったのと同時に、あたしは誰かにおんぶされていることに気づいた。
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