「小春ちゃん、今何て言ったの?」

下から聞こえた声にあたしは顔をあげた。

閉じていた目をゆっくりと開けると、かなりの近い距離で朝比奈さんの顔があった。

「――えっ、なっ…!?」

何で!?

ああ、そう言えば迎えにくるとかそんなことを言っていたな。

そんなことを思ったあたしに、
「小春ちゃん、テキーラ飲んだ直後に気を失ったんだよ」

朝比奈さんが言った。

「そ、そうでしょうね…」

あたしは呟くように返事をした。

「それで、さっき何か言っていたよね?」

朝比奈さんが聞いてきた。

当然のことながら聞いていましたよね、ええ…。

「酔っ払いの戯言じゃないんですか?」

あたしはそう言い返すと、朝比奈さんの背中に顔を埋めた。
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