「あれ、何かいい匂いがするね」

朝比奈さんは気づいたようだ。

でもあたしはあえて何も言わずに彼をリビングへと誘導した。

「えっ、あれ?」

テーブルに並べられている料理に朝比奈さんは驚いたようだった。

「これ、小春ちゃんが作ったの?」

そう聞いてきた朝比奈さんに、
「はい」

あたしは首を縦に振ってうなずいた。

「えっ、どうしたの?

何があったの?」

朝比奈さんは訳がわからないと言った様子で、あたしと料理を交互に見ていた。

その様子に、
「えっと、ダメでしたか?」

あたしは不安になって、朝比奈さんに聞いた。

「ダメって言う訳じゃないけど、驚いちゃって…」

朝比奈さんはかなり戸惑っているようだった。
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