恋
その様子をあたしは見届けると、また作業に集中した。

夫婦ってこう言うものなんだな。

少し前までは１人が当たり前で、むしろ１人でいることが好きだった。

でも今は１人になってしまうと寂しい。

結婚してから考えや価値観が変わると言うのは、本当のことだったみたいだ。

あたしが持っていた考えや価値観は隣にいるこの男によって全て変えられて、最後には彼の伴侶として死が別つその時まで一緒にいることになってしまった。

「不思議なものね…」

思わず口に出てしまった呟きを、
「えっ、何が？」

朝比奈さんは聞き逃してくれなかった。

「こっちの話です」

あたしは首を横に振って返事をした。

「結婚式、忙しいですけど楽しみですね」

そう言ったあたしに、
「うん、そうだね。

でも忙しい分、最高の結婚式にしようね」

朝比奈さんは笑って首を縦に振ってうなずいた。
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