その帰り道。

「さっきは母がすみませんでした」

あたしは隣を歩いている朝比奈さんに謝った。

「いいよ、気にしてないから」

謝ったあたしに朝比奈さんは笑いながら返事をした。

「子供か…」

朝比奈さんはそう呟いたかと思ったら、ふぅと息を吐いた。

「えっ、欲しいんですか?」

そんな彼の様子に、あたしは思わず聞き返してしまった。

「ダメかな?」

「いや、ダメも何も…」

あまりにも唐突過ぎて、どうやって返事をすればいいのかわからない。

「ちゃんとエスコートをするから安心して」

「な、何の話をしているんですか!?」

笑顔でそんなことを言うものだから、驚きのあまり声が大きくなってしまった。
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