「信用していない?」

あたしがどんな顔で朝比奈さんを見ていたのかはよくわからないけれど、彼はそんなことを言ってきた。

「信用しているに決まっているじゃないですか」

そう言ったあたしに、
「口約束で終わらせるつもりはないからね」

朝比奈さんが言った。

「そうですか」

あたしは答えると、自分の手を彼の前に差し出した。

それに対して朝比奈さんはフッと笑うと、差し出したあたしの手を繋いだ。

「初めてだね、小春ちゃんから手を繋ごうなんて誘ってきたの」

「そうでしたっけ?」

「そうだよ」

そう言い返した朝比奈さんがおかしくて、あたしは笑いそうになった。

「子供なんだけど、小春ちゃんによく似た女の子がいいな」

そう言った朝比奈さんに、
「まだ先の話ですよ」

あたしは言い返した。
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