結婚式当日を迎えた。

「いよいよだね」

白いタキシード姿の朝比奈さんが言った。

「そうですね」

純白のウエディングドレスを身につけたあたしは返事をした。

いつものように返事をしたあたしだけど、心の中ではものすごいと言っていいほどに緊張していた。

「こうして見ると、お姫様みたいだね」

そんなあたしに朝比奈さんが褒めてくれた。

「ありがとうございます。

欣一さんもよく似合っていますよ」

あたしがそう返事をしたら、朝比奈さんはキョトンとした顔をした。

「な、何ですか?」

何か変なことを言ったのだろうか?

そう思っていたら、
「…ごめん、驚いた」

朝比奈さんは手で口をおおうと、あたしから目をそらすように顔を横に向けた。

「そろそろお時間ですよ」

係の人が控え室に入ってきたので、
「行こうか」

「はい」

あたしたちは顔を見あわせて返事をした。
< 265 / 275 >

この作品をシェア

pagetop